熱処理工程紹介

1.焼入治具へセット

ワーク(生材)の形状に応じて決められた熱処理治具に品物をセットします。ポイントは焼入時に焼入油と接触した際に、早く、均一に品物が冷却されるように治具にセットすることが求められます。弊社では品物毎にセットの仕方を基準化し、作業者は基準通りにセット作業を行います。

治具セット写真

2.前洗浄(脱脂洗浄)

前工程(客先)でワークに付いた切削油、防錆油などを脱脂洗浄します。脱脂を十分に行わないと製品が変色したり、焼入油が劣化し、焼入性に影響を及ぼす恐れがあります。弊社では真空洗浄機で30分間洗浄します。
洗浄機写真

3.焼入又は浸炭焼入(浸炭浸窒焼入)

部品毎に決められた焼入炉にロット荷姿を装入し、決められた熱処理条件(温度、時間、CP、油温等)で処理します。入炉→昇温加熱→浸炭→拡散→降温→焼入(油冷却)→出炉 まで全自動で処理が行われます。

洗浄機写真

4.後洗浄(焼入油除去)

焼入の際にワークに付いた焼入油を前洗浄と同じように真空洗浄機で30分間洗浄します。
洗浄機写真

5.焼戻し

焼入れ後のワークは硬いけれども、その割に弱く、もろいので、ねばり強さを引き出すために焼戻しが必要です。客先の要求する硬さにするために指定された温度(150℃~600℃)で焼戻しを行います。
焼戻し炉写真

6.製品検査

処理ロット毎に品番単位で検査(表面硬さ、浸炭深さ、内部硬さ、組織など)を行い、顧客要求事項を満足していることを確認します。検査データ及び炉の操業記録はパソコンに入力し、トレーサビリティがとれるようにしています。
検査室写真 検査室写真 検査室写真

7.治具ばらし/製品箱詰め

検査合格の場合は製品を熱処理治具からばらし、通箱に箱詰めします。箱詰めする際には、製品にキズ、変形、外観色に異常がないことを目視確認します。
ばらし箱詰め写真

8.製品出荷準備

客先の納入指示に基づき、該当する製品のかんばんを通箱に挿します。この時に、かんばん(品番)と通箱の中にある品物が合っていることを目視確認します。
製品の出荷準備写真

9.製品出荷

製品を定期便に載せて出荷し、客先に納品します。
製品出荷写真

浸炭防止剤の説明

浸炭焼入において部品の特定の部分(範囲)を浸炭させない目的で、浸炭防止剤を塗布し、浸炭焼入を行っています。弊社では小物のピンの先端部を0~2mmの誤差範囲内で浸炭防止剤の塗布が可能です。(浸炭防止剤の塗布は専任の作業者により行っています。)
浸炭防止剤は防炭効果の優れた万世化学重工㈱製のカーボンキラーNo.2N を使用しております。
浸炭防止剤塗布

ショットブラストの説明

浸炭焼入(油冷)後、真空洗浄機にて製品を洗浄し、焼戻しを行った後、ショットブラスト機にて製品の表面清掃を行います。
ショットブラスト機